キミの世界で一番嫌いな人。
「それって、ちゅーしていいよってこと?」
「えっ…!?そっ、そういう意味じゃなくて…っ!!」
「動揺しすぎ。…あとでたくさんしようね」
そんなことを耳元で言ってくる。
こんなの心臓持たないよ…。
アッキーって、すごい人だった。
そりゃあギャルにも人気が出ることだ。
「検診お疲れサマ。…大丈夫だった?」
「…うん」
身体が離れると、覗き込むように見つめてくる。
照れくささの残る笑顔で返事をすれば、ちゅっと軽く唇を合わせられた。
そしてすぐに離れかと思えば───、
「…やっぱ無理」
「ん…っ!」
顔が赤くなっている私を見て、味わうように合わせてきた。
ようやく離れると悪戯にベッと舌を出される。
「無理して我慢するべきじゃないね」
「も、もうしないから…っ!」
「それは無理」
いつかに私は自分の病気の話を彼に聞かせた。
ずっと入院していたこと、走れなかったこと。そこである人がすべてを救ってくれたこと。
その名前だけは言わなかったとしても、彼は察しの良い人だから。
「少し悔しい」と、一言こぼした。
「───あ…、」
そんな私たちが並んだ校門前。