キミの世界で一番嫌いな人。

その先は

秋斗side




桜の舞う校舎。

「この日だけはさすがに喧嘩してくれるなよ」と、教師たちはヒヤヒヤしてるけど。



「てめえ…!!やんのかゴラァ!!」


「次の湊川の頂点は俺なんだよ!!」


「ぁ”あ”!?俺に決まってんだろーがっ!!」



あー、うるさい。
なんでこんなに単細胞ばかりなの?

だいたい次のナンバー1はさ、俺じゃないの?

まぁ俺はそんなの興味ないんだけど。



「あれ、ずいぶん早かったね藤城サン。あぁそっか。あんたトモダチいないもんね」


「…うるせぇよ」



左胸に花のコサージュをつけたその男の似合わない姿に、思わず俺は笑ってしまった。


───卒業式。

本当はここにもうひとり居て欲しかったんだけどなあ。


そんな屋上のベンチに座る卒業生は、俺の姿を確認すると立ち上がった。



「俺ね、藤城サン。今まで強さってのは恨みや憎しみからしか生まれないと思ってたんだよね」



憎んだぶんだけ、恨んだぶんだけ。
それは誰かを負かせる強さに変わるって。

だから俺は簡単に人を殴れたし、そこに憐れみも無かった。



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