キミの世界で一番嫌いな人。




どれくらい時間が経ったんだろう。

殴って殴られて。
蹴られて蹴っての繰り返し。


口の中は血の味がすごいし、身体だって怠い。

俺にここまでさせるのってこの人くらいだと思うけど、たぶんこの男も同じことを思ってるんだろう。



「お前、あいつに振られたのか…、」


「…うるさいな」


「はっ、…ダッセェ…」


「あんた本当…、いっぺん死んでも良かったんじゃない?」



これって失恋?

そういえば俺ってチビに振られたの、これで2回目?

振られたっていうか、最初は俺のナンパ断られただけだけど。


あー、なんか腹立ってきた。

今度会ったら何か奢らせよう。



「それと写真…、いいかげん送れ…っ!」


「まだ覚えてたのかよ…、嫌だよあれは俺のもの…!!」



ドガッッッ───!!!


そして倒れた、ふたつの影。


俺はもう動けそうにない。

そいつはゆらゆらと起き上がって、そして俺の傍らに近寄ってくる。


あーーー、負けたのかな……俺。


ドサッ───。

だけどその男も再び倒れた。



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