キミの世界で一番嫌いな人。




「廣瀬、…俺の父親が……、俺が、お前の母親を奪って…悪かった、」



そんなの今更なんだよ。

それに俺はあんたにそう言って欲しかったわけじゃない。

謝られたかったわけじゃない。



「…別に。どーせあんたはそこまで関わりもなかったんだろ」


「俺も…結局は捨てられた」


「はっ、ざまぁないね」



肩で呼吸しないと駄目だ、息が続かない。

そんな藤城サンは胸を少し押さえてはいるが、微かに笑っている。


心配なんかしてやらない。
これは当たり前のことだ。

俺はトモダチの仇を討っただけ。



「なあ、…廣瀬、」


「…なに」



てか、早く行かなくていいの。

新幹線乗って行くんでしょ。


あの田舎かなり寒いよ?
それに学校までかなり山道だよ?

ナメないほうがいいから本当に。



「俺もお前のこと…、“アッキー”って呼んでいいか、」



考えもしていなかったくらいに馬鹿なことを言うから。

俺はこれ以上ないほどに笑ってしまった。



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