キミの世界で一番嫌いな人。
番外編
その後の話
小鳥遊 青葉、高校3年生の夏休み。
「あれえ…?今ここ通ったよね…?いや、似てただけ…?」
ウロウロ、キョロキョロ。
右に行って左に行って、Uターンして。
そんなものを繰り返してどれくらいの時間が経ったのでしょうか。
「コーちゃぁぁんっ!迷ったぁぁ…っ」
『ほら言わんこっちゃない!』と、スマホ越しのため息。
私のよく知る大学病院が付属している大学だったから、ひとりで向かえると意地を張ってしまった私は。
地図通りに進んだものの、どうやら見慣れた道は1つも通らない場所にあるらしい、その大学。
『藤城くんに電話かけてみなさい!もうウダウダ泣いてても仕方ないでしょ!』
「だって先輩…、今の時間は講義中かもしれないからぁ…っ」
『だから私がついて行くって言ったんじゃない!馬鹿っ!』
「えぇっ、そんな怒るぅ…?」
意地なんか張るんじゃなかったと後悔。
目の前にあるのは、だだっ広い坂。
その端に立つ大きな木の下、木陰になった場所でシクシク泣いていた私。