キミの世界で一番嫌いな人。





夏休みとなって帰省した私。

今回は大好きな2人に会えるからと、ウキウキワクワク浮かれた結果これだ。



「えっ、待って!電話切らないでコーちゃんっ!」


『もう休憩終わるのよ!自分でどうにかしなさい!』


「切ったら私は遭難するよ!?コーちゃんいいの!?」



『するかっ!』なんてツッコまれながら、ながーいため息がまた聞こえた。


それでも電話を切らないでいてくれる主治医。

検診のあとにそのまま直行した今、さっき会ったばかりなのに恋しくなる始末。



「───っ…!」



そんな私のうしろにできた影が、ひょいっとスマホを奪う。

耳に当てて「解決しました。問題ないです」とつぶやき、ピッと切った存在。



「良かったな。遭難が免れて」


「せ、せんぱい…っ」


「ずいぶん遅ぇからこんなことだろうと思った」



カジュアルかつシンプルな首元緩めなTシャツ、クシャッとなった余裕ある黒パンツ。

皮製のレザー生地のネックレスがこれまたお洒落につけられていて。

左腕には黒色の腕時計。
変わらない栗色に、左耳のピアス。


か、格好いい……。



< 319 / 340 >

この作品をシェア

pagetop