キミの世界で一番嫌いな人。
直視できない私とは反対に、じっと見つめてくる先輩は。
勝ち誇ったように、ふっと笑った。
次会うときはアッキーのワンピースじゃなくこれを着ろと言われ、彼の好みらしいノースリーブのワンピースをプレゼントされた少し前。
アッキー、怒るだろうなぁ…。
でもアッキーのは秋冬用、先輩のは春夏用として今後も着るつもりだ。
「あいつはもう居るんだろ?」
「うんっ!準備して待ってるって」
「んじゃ、行くか」
うなずいた私の右腕が自然にスッと繋がれた。
それから「…あ、」と、なにかを思い出した先輩は───、
「青葉、」
「わっ、…ん…っ!」
ぐいっと引かれて、そっと触れた唇。
久しぶりのキスは、ずっとずっと想像して待ちわびていたものでもあって。
「…また、髪伸びたな」
「…うん、」
名残惜しく離れた先で優しく微笑んでくれる先輩。
おでこをコツンと合わせて、お互いどこか恥ずかしいなかでも笑いあった。
「アッキー!!」
「チビ!久しぶり!」
本日貸し切り───。
そう貼り紙の貼られた暖簾をくぐった先に、変わらない黒髪の親友はスマホ片手に私に気づくとすぐに駆け寄って来た。
こうして会うのは数ヶ月ぶりだ。
お互い受験ということもあって、予定があまり合わなくて。