キミの世界で一番嫌いな人。




「おまえ髪伸びたじゃん!」


「おうっ!アッキーは髪切ったの!?」


「似合うでしょ」


「すごい似合ってるよ!俺こっちも好き!」



「さっすが俺」と、親友は私の頭をポンポンと叩いた。

私はあれから少しずつ伸ばして、今ではショートからミディアムほどにまで伸びていた。


そんなアッキーは私のうしろに立つ男を見つけて、「なんだ、理久も居たの?」なんて冗談半分に笑った。



「あれ?てかチビ、俺のワンピースは?」



ギクッ。



「そ、それは…、」



やっぱり気づくよね…。

そうだよね、いつも女の子の姿で会うときは必ず着てたし。


それに過去には『女の子に戻ったときは毎日着る』なんて言っていたのをいま思い出した。



「アッキー。悪いがお前はもうお役御免なんだよ」


「なに、まさか嫉妬?うっわー、年上のくせにほんと器小さいや」


「うるせぇ。お前は毎回距離が近い。今もなに普通に触ってんだよ」


「当たり前だろ。俺だってずっとチビに会えてなかったんだから」



まーた始まったよ…。

なんでこの2人は会う度にこうして言い合っちゃうかなあ。

まるで兄弟みたいだ。



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