キミの世界で一番嫌いな人。
「…俺の代わりにお前が行く?」
「っ…!!うぐっ!ごほっ…!!」
電話を終えた男はにこやかに笑って、ふざけたことを言ってくるものだから。
今度はお茶ではなくミートボールを詰まらせた。
どういう意味なの。
なに俺の代わりって、私がホテルに行けと?
そこでどうしろっての。
「でもこいつはオススメしないけど。お前にはたぶん、もっと大人しいほうがいいでしょ」
「なななななにがっ!?俺そーいうのまっったく興味ないし!!」
「そこまで動揺しておいて良く言うよ」
そう、ここは男子校。
こんな話は日常茶飯事。
クラスメイトだって、毎日毎日女の話をしてる奴らばっかり。
それでも廣瀬 秋斗もまさか同じ部類だったとは……。
この人は先輩と同じで、あまりそういう話は好まない人だと勝手に思ってたのに。
「俺…、先輩がいい…」
「うわー、お前ってやっぱりそっち側ね」
先輩はいつも1人で、青空の下ベンチに座って空を見上げていて。
あまり会話は多くないけど、傍に座ってるだけで落ち着くっていうか。
でもいつかこの男もそこに集まれるように、こうして必死になっているのだけど。