キミの世界で一番嫌いな人。
隠すべきもの
その町でいちばんの大きを誇る大学病院。
私はこの病院しか知らなかった。
ここで産まれてここで入院して、今はここに通院している。
「よし、とくに異常はなさそうね」
他の病院は逆に行っちゃだめ。
だからこそ引っ越した先からは電車とバスを使ってわざわざ来ないといけなくて、すっごく面倒。
「…というか、本当に男の子になってるじゃない。大丈夫なの?いろいろと」
「うん、なんとか。でも友達はまだゼロ!」
呑気に笑う私とは反対に、コーちゃんはため息をひとつ。
やれやれと首を振って、ブレザーをそっとかけてくれた。
定期検診は1ヶ月に1度。
その度に彼女は日々の生活での不満や愚痴も聞いてくれて。
本当に母親以上だと思う。
きっと親代わりをしてくれているところもあるんだろうなって。
「ちゃんと人は選びなさいよ。青葉は少し危機感が足りないんだから」
「わかってるって!ひとり、隣の席のナンバー2の男がいてさ、良い奴なんだけどなかなか近づけなくって」
ドアが閉じる寸前。
ぐっと、ガッツポーズをしてみせる。
「だからこの体育祭に賭けてるんだ」