キミの世界で一番嫌いな人。
また平気で吐いてしまう、嘘。
この先もずっと、この人に対してはこうして偽って関わるしかないのかな…。
うん、それしかないよ当たり前だ。
「…それは妹じゃねぇのか」
「い、妹は…今はピンピンしてますよ」
そうか、とつぶやいた先輩はグラスに入っていたメロンソーダを口に含んだ。
“今は”、なんて。
そんなの、その“妹”が昔は病気がちだったと言っているようなものだ。
安易に訂正するほうが違和感な気がして、話題を変えることにした。
「先輩はどうしてここに…?」
ほんと、白々しい。
私は今どんな顔をしているんだろう。
どんな表情で聞いてるの。
知りたくないから、正面が見れなかった。
窓ガラスに反射して映る自分の顔を見たら平常心を保てるか、隠し通せるか不安だったから。
「別に。…俺も見舞い」
嘘だよ。
だって知ってるもん。
そのファイル、青色のファイルは診断書が入ってるって。
患者にしか渡されない色。