キミの世界で一番嫌いな人。
だめだ、ありえないくらい痛い……、
息がうまく吸えない…、
直に食らった、3年の男から蹴りを。
これが湊川。
わかってはいた、わかってはいたけど……痛すぎる…。
「はっ……っ」
お腹を抱えるようにして屈みこむしかできない私の周りは、舞うに舞った砂でぼやけていた。
「いてぇんだよクソ野郎……っ!!!」
「なめんなよ2年がァッ!!」
先生たちすら止めることはない。
こうなることが当たり前みたいに、諦めムード。
せっかく、せっかくチャンスだったのに…。
先輩だって見てた。
アッキーとだって友達になれたのに。
そこまで甘くはないのが湊川。
「あいつチビなんだからさ、少しは手加減しろよ」
「てめえはアキ───ぐはぁ…っ!」
乱闘の中から聞こえる痛々しい音。
彼でさえ、殺気が募る声をして誰かを殴っていた。
「どうして……こうなっちゃうの…、」
いろんな理由が混ざって、じわっと溢れそうになった涙。
グイッ───!
「っ…!」
妙にすぐ近くでざわついたと思ったら。
なにごと…?と、思う暇もなく。
「なに泣いてんだよ。ダッセェな」
気づけば腕を引かれて、ひょいっと抱えられていた。