キミの世界で一番嫌いな人。
栗色をした髪の隙間から覗く、色素の薄い瞳。
綺麗な二重ラインに長い睫毛。
肌の色は白くて、毎回見惚れてしまう風貌は。
「な、泣いてない…!まだ試合は終わってないだろ!俺はまだっ」
「それ以上動くと負担かかってあばら折れるぞ」
「えっ…」
そのままお姫様抱っこのような形で、校舎へ連行されてゆく。
え……、先輩……?
なんで……?
屋上から降りてきてくれたみたいに、今もわざわざ助けにきてくれたの…?
「先輩…俺、土だらけで汚れてて、」
「だからなんだ」
ドキドキと心臓がうるさい。
バレないようにしなきゃ、これは違う。
そんなんじゃない…。
「チッ、いねぇのかよ」
保健室に着くなり、先輩は舌打ちをしながらも私をベッドに少し雑に下ろすと。
不在にしている保険医の代わりに、手際よく氷袋を用意して私の傍らに寄った。
「脱げ。蹴られた場所に当てる」
「い、いいっ!自分でできるんで!!」
「うるせぇ。つーか、お前さっきも騎馬戦で顔殴られてただろ」
え、バレてた。