キミの世界で一番嫌いな人。




なんか……不穏な空気…?

湊川のナンバー1とナンバー2が揃ってしまったから、危ない予感…?


怯える私とは反対に、アッキーは少し笑って「惜しかったね」と、一言。



「賭けは俺の勝ち。残念でした」



そうだ、私は賭けに負けたんだ…。

友達にはなれない。
シュートを決められなかったのだから。



「え、なにお前。泣いてんの?」


「っ、だって…っ」


「ぼっちでもいいじゃん別に。それに俺なんかとトモダチになっても良いことないよ」



「ねぇ…藤城サン」と、意味深に先輩を捉えたアッキー。



「…お前、それ冷やしとけよ」



まるでその場から逃げるように、先輩は保健室を出て行ってしまって。


このときの私には何もわかっていなかったのだ。

先輩とアッキーの関係を。



「俺べつにお前のこと、前ほど嫌いじゃないよ」



ベッドに腰かけて、慰めるように言われた。


この涙はいろんな約束を守れなかった不甲斐なさから出たもの。

乱暴に拭うリストバンドは、もう勝利の色なんかじゃない。



「でも、そうだな。どうしても俺とトモダチになりたいってんなら───…藤城サンを殺してくれない?」


「……え…?」



……この人…、なんて言った…?

いつもいつも“殺す”とか平気で笑って言う人だとは思ってたけど。



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