キミの世界で一番嫌いな人。
涙は蛇口を閉められた水道のように、ピタリと止まってしまった。
沈黙の重さを初めて体感する。
だってアッキー、笑ってないから。
「俺、前に言っただろ?誰かを負かせる強さは恨みや憎しみからしか来ないって」
うん、言ってた。
正直あれを聞いたときは意味わからなかった。
なに言ってんだこいつ?って、思った。
けど、今なら少し分かっちゃうような気がする。
「そう考えたら、俺はもしかすると藤城サンより強いかもね」
アッキー言葉は、先輩限定な気がした。
恨んでるってこと……?
あなたは先輩を。
似た者同士だね、私たちはみんな。
「じゃあね、お大事に」
「うぐっ…!!」
「よし大丈夫。折れてない」
せっかく落ち着いてきた同じ場所に、まさかのパンチを入れられる。
今ので折れたよ確実に…っ!!
怪我を悪化させるって、どういう神経してんの…!?
「まってアッキー…っ!俺と、友達に…」
「もっと腹筋つけなよチビ。そんなひ弱じゃ俺のトモダチにはなれないよ」
「えっ!じゃあ腹筋つけるよ…!!」
「頑張ってねー」
私やっぱりアッキーのこと、もっと知りたい。
先輩のことだって、まだ分からないことがたくさんあるから。
でもふたりとも、今まででいちばん優しい顔してたの知ってた…?