キミの世界で一番嫌いな人。
いつもズボンからシャツを出して、腕捲りして、ネクタイを緩く締めてるような制服姿だから。
ちょっとだけ意外というか、新鮮というか…。
「ひ、人違いだと…思います、」
「そう?誰かに似てる気がするんだけど」
「似てる顔なんか世の中たくさんいますから…!」
あははっと笑って、「確かに」なんて呑気に言ってくれる。
「…あいつにも女装させようかな」
背筋が凍る独り言を聞いてしまった。
こいつ……休み明けは要注意だ。
それに、チラチラと周りの女の子の視線集めてますけどアッキー。
「ねえ、良かったら連絡先交換しない?」
「……え。…え、ナンパ…!?」
これってナンパだよね……?
アッキー、そういうタイプだったとは…。
だって女は信用してないって、いつかに言ってたのに。
「そうとも言うかも」
ね?と、スマホをポケットから取り出した。
いやいや駄目だ。
だってあなたの番号はすでに登録済みなので。
いつだったか、体育祭のあとだったか。
せめてこれくらいならいいよと言って、連絡先を交換してくれて。
転校してから誰かの連絡先をゲットするのは初めてだった。
「熱血馬鹿な俺のトモダチに似ててさ。そいつにも紹介したいし」