キミの世界で一番嫌いな人。




もしかしてドッペルゲンガー?なんて笑いながら、スマホ画面をいじるアッキー。


とも……だち……。

いま確かにこの人…そう言った…?



「ありがとうアッキー…!!」



込み上げてくる涙をこらえて、目の前の肩を少し強めにポンポンと叩く。

……と、目を見開いて見つめてくる。



「…なんで俺の名前しってんの?それに、その呼び方するのなんか2人くらいしかいないけど」


「あ…っ、いや…!アキって人は喧嘩が強いって有名なんで…!じゃあそーいうことで!!」



やばい、つい癖で言ってしまった。



「あっ、ねぇ!名前なんて言うの!」


「名前はありませーーーん!!」



逃げるように人混みへと溶け込んだ。


ギリギリセーフ…。

危ないっ、“アッキー”は危なかった…!!

いまの私は女の子なんだからっ!!
しっかりしろって青葉ーーー!!



「ふっ、あはははっ!なにあの子。…おっもしろ」



そんなアッキーの笑い声なんか、私にはもちろん聞こえていない。


ドーーーン!!

パラパラパラ───……


暗さが帯びてくると、屋台の明かりと花火の光が人々を照らす。

わりと楽しめたし、そろそろ帰ろうかなぁと思っていたときだった。



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