キミの世界で一番嫌いな人。
ぼそっと、弱々しい声が飛び出した。
「…そんなんじゃ…ないよ…」
こんなチビは初めてだ。
いつも熱血馬鹿で、しつこいくらいにうるさいのに。
まるで……女の子みたいだ。
「アッキー俺さ…先輩に嫌われてるんだよね」
「…先輩って、藤城サン?」
「そう…」
俺、薄々思ってたんだけど。
いやこれって言わないほうがいいのかな。
別にそういうのは今のご時世、珍しいことじゃないから。
……うーん、俺は嫌だけど。
「ねえチビ。合コンこない?」
「…合コン…?」
「そ。今日の放課後、こっちでも人数揃えてこいって言われてんの」
興味ない、なんて言われてしまえば益々疑問は確信へと近づく。
それにこれ、人数集まらなかったら俺はひとりで行く羽目になるんだけど。
女3男3の6人だから、こっちはあと2人集めなきゃならないわけで。
さすがに3対1とか、俺がキツすぎる。
「藤城サンも誘ってみなよ。そこで楽しませればお前の株も上がるんじゃない?」
俺はあの男がこの世でいちばん大嫌いだけど。