九羊の一毛



うっすらと開けた目に映ったのは、白い天井だった。
自分の家はこんなに白くないよなあ、と考えて、それから思い出したように視線を横に向ける。


「おはよ」

「おはよう……」


うん、そうだ。玄くんの家だ。
隣で眩しいくらいの笑顔を浮かべる彼に、掠れた声で返事をする。

流石に気恥ずかしくて寝返りを打ったら、ずきん、と腰に痛みが走った。


「う、」

「痛い?」

「うん……ちょっと、」


私の言葉を遮るように、彼が背中越しに腕を回してくる。


「ごめんね。手加減できなかった」


そういうことを言われても反応に困る……!
ごめんね、と謝りながらも彼の声色はどこか嬉しそうだし、体は密着してるしで、全く説得力がない。


「……でも、初めての時より気持ち良かったでしょ?」

「えっ、」

「いっぱい可愛い声出てた」


だから何でそんな恥ずかしいこと朝から言えるの――――!?
もう羞恥で顔から火が出そうだ。耐え切れずに唸りながら顔を覆うと、くすくすと耳元で笑い声が揺れる。


「俺はね、めちゃくちゃ気持ち良かったよ。トぶかと思った」

「も、やだぁ……」

「んー……ごめんね?」

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