九羊の一毛
*
「狼谷くん、私ゲーム上手くないって! 下手くそって言ったよ!」
「うん、そうだね」
抗議する羊ちゃんに、淡々と返す。
学校の最寄り駅。そこに入っているゲームセンターの目の前まで来て、俺がなぜあんな質問をしたのか理解したらしい。彼女は若干不服そうに肩を落としていた。
「狼谷くん、このアニメ好き?」
「いや、知らないかな」
「じゃあこのキャラクター知ってる?」
「いや……」
「あ、お菓子の方がいい?」
UFOキャッチャ―の中の景品を指さし、羊ちゃんが次々に問いかけてくる。
あまり乗り気じゃなさそうに見えたが、何かやる気を出し始めたようだ。彼女は軽く腕まくりをすると、「よし」と拳を握る。
「取れたら狼谷くんにあげるね!」
どうやら俺へのプレゼントをまだ諦めていなかったらしい。彼女もなかなかに頑固だ。
大きいスナック菓子の台に決めたのか、羊ちゃんは百円玉を一枚投入してゲームを始める。
「あ、全然だめだ……久しぶりにやったなあ」
「狼谷くん、私ゲーム上手くないって! 下手くそって言ったよ!」
「うん、そうだね」
抗議する羊ちゃんに、淡々と返す。
学校の最寄り駅。そこに入っているゲームセンターの目の前まで来て、俺がなぜあんな質問をしたのか理解したらしい。彼女は若干不服そうに肩を落としていた。
「狼谷くん、このアニメ好き?」
「いや、知らないかな」
「じゃあこのキャラクター知ってる?」
「いや……」
「あ、お菓子の方がいい?」
UFOキャッチャ―の中の景品を指さし、羊ちゃんが次々に問いかけてくる。
あまり乗り気じゃなさそうに見えたが、何かやる気を出し始めたようだ。彼女は軽く腕まくりをすると、「よし」と拳を握る。
「取れたら狼谷くんにあげるね!」
どうやら俺へのプレゼントをまだ諦めていなかったらしい。彼女もなかなかに頑固だ。
大きいスナック菓子の台に決めたのか、羊ちゃんは百円玉を一枚投入してゲームを始める。
「あ、全然だめだ……久しぶりにやったなあ」