諦めた心···(哲也中心)

会場を出ると
夏海さん達と一緒になり
千亜季と夏海さんは、
また立ち話をしていた。

そこへ····

「千亜季。鏡さん。」の声·····
······大典だ。

翼君がさっと、千亜季の横に行く
相変わらずだなぁ、と
見ていると一華が横に来て······


「千亜季、ありがとう。
さっき、鏡さん(夏海)から聞いた。
本当に、あの時は申し訳なかった。」
と、大典が頭をさげる。
「大典、もうやめてよ。
本当に、夏海から聞くまで
大典の事、忘れていたんだから。
私ね、本当に幸せなんだ。
翼がいて、結翔がいて。
だから、大典も幸せになりな。」
「······ああ。ありがとう。
あなたは、あの時、
タクシーに乗り込む
千亜季を助けた方ですよね。
びっくりしました。」
と、言いながら大典は翼君に確認していた。

「俺も、あの時、
千亜季の事を綺麗な人だとは
思いましたが·····まさか····
でもまた、哲也さんとこで
見かけて····
貴方が飲み屋でつぶれてた時に
また、再会して····
あの時に、千亜季に
自分の気持ちを伝えました。」
と、言った。
「なんだか···不思議です··よね。」
と、大典が言っていると
「先輩!!」
と、男性が。

すると、千亜季が
「辻君?」
「あっ、千亜季さん。
と、あの時の?」
と、千亜季と翼君を見てびっくりしている。

男性は、どうやら大典の後輩らしい。
「辻君、私の夫の翼よ。
向こうに息子もいるわ。
辻君、かわらないわね。
それに、大典を好きなとこも。」
「はじめまして、ではありませんが
辻 颯真といいます。
あの時は、助かりました。
ありがとうございました。

千亜季さん、誤解をまねくから
止めてくださいね。
俺も結婚して嫁持ちですから。
まぁ、先輩とは長いし
あの頃を知っているから
心配で。」
「辻君、結婚したんだ。
それは、おめでとうございます。
で?あの頃とは?」
「辻、話すんじゃないぞ。
話したら、わかってるよな。」
と、大典が止めた。

翼君は、
「色々大変でしたね。
私は進藤 翼です。
大典さんも辻さんも
どうか幸せになって下さい。」
と言うと
二人は、
「「ありがとうございます。」」
と、翼君に頭を下げた。

大典が俺を見て
「てつ、奥菜さん、
あの節は、お世話になりました。」
と、言うから
「大典、今度は間違えるな。
嫁さんを幸せにしろよ。」
と、言うと
「必ず。」
と、言って俺と一華に頭を下げて
辻君を連れて嫁の所に戻って行った。

夏海さんに聞いて
千亜季に詫びにきたのだろう。

奏多君とも、きちんとお別れを
したみたいで、陽介さんが
ほっとしていた。

「いつか、奏多が
自分の事を父親でないと
わかった時には、きちんと話してやります。」
と、言っていたが·····
そん時は、どんなに奏多君の事を
陽介さんが大切に大事にしていたか
俺が言ってやる
と、俺は思っていた。

一華が回りを見ながら·····
「不思議だね。
出会って、恋に落ち
結婚をして家庭を築いたのに
どこかに食い違いがあるから
別れることになった。

大典さんも翼さんも千亜季さんも
夏海さんも怜も
初めから、永久に伴侶となる
人と出会えていたら
辛い気持ちや、悲しみを
味会わなくてもよかったのにね。」
と、言うから
「試練だろうな。
だからこそ、今の相手を
大切に大事に愛していけるんだろう。
まぁ、俺は一華一筋だから
間違わないがな。」
と、俺が言うと
一華は、俺を見て
「私も、てっちゃんでよかった。
てっちゃんが何よりも大事だよ。」
と、言うから
その場で押し倒したかったが
おでこにチュッとキスをしただけで
我慢した。
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