諦めた心···(哲也中心)

今日は、家に一華の友人の
ゆかりちゃんが遊びにくる。

ゆかりちゃんは、
女性の弁護士の中で
力のある小泉先生の事務所に
勤めている。

女性を護りたいと
ゆかりちゃんらしい。

一華も、どれだけ
ゆかりちゃんに助けてもらったか
わからない。

感謝してもしきらないほどだ。

「一華、私ね。
結婚することになった。」
「ほんとに?おめでとう。
ゆかり、幸せになってね。」
「うん、ありがとう。」
「で、お相手は?やはり···」
「うん。何度も喧嘩して
別れての繰り返しだった
小野 涼司(おの りょうじ)さん。」
「やっぱり、離れられなかったね。」
「うん。最後に別れてから
一年離れて過ごして
やっぱり、考えるのは
涼司の事で。
あちらもそうだったみたいで、
事務所に来て
その場でプロポーズされた。

先生方も居る中で。
『ここでなら、嘘もつけないし
本当の心からの気持ちだと
わかって欲しかった』からと。
小泉先生からは、
『ゆかりを泣かせたら、
日本から叩き出すから』
と、言われてね
『必ず幸せにします。
ゆかりじゃないと俺がだめなんで』
と、言って
先生は、少し呆れていたけど
『ゆかり、幸せになるんだよ。』
って言ってくれてね。
公開プロポーズをその場で受けちゃった。」
「すっこいね。
まぁ、ゆかりを泣かせたら
家にも凄腕の弁護士いるし
日和もいるからね。」
と、一華が言うと
ゆかりちゃんは、嬉しそうにしていた。

俺は、楓を連れて部屋にはいり
「ゆかりちゃん、おめでとう。」
と、言うと楓も
「おめれとう。」
と、頭を下げた。

ゆかりちゃんは、楓に
「ありがとう」と、言いながら
俺にも頭を下げた。

涼司さんは、大学時代から
ずっと付き合っていた
年上の会社員の人だ。

一華の事も知っていて
ゆかりちゃんが一華から離れられずに
居るときも温かく見守っていた人だ。

だが、会社員と弁護士では
中々、合うことも難しい
弁護の仕事に入ると
昼夜問わないし土日も休みにならない。
院の時位から
喧嘩が増えたようだ。

会いたいのはお互い様だが
中々難しい。
何度も別れて戻りを繰り返し
それではだめだと
きちんと、別れて離れてみよう
と、決めたらしい。

それでお互いに
別の道、別の人に巡り会えたら
それは、それで良いと
話し合って決めたと聞いていた。

それからは、ゆかりちゃんは
仕事に力を入れ
息抜きに一華の所へと
遊びに来ていた。

一華にとって
本当に大切な大事な存在の
ゆかりちゃん。

幸せになって欲しい。

それで···と、いいながら
招待状を差し出して
「できたら、哲也さんと楓君にも
出席して欲しい。」
と、言うから
「喜んで。」と、答えると。

ゆかりちゃんは、嬉しそうにして
帰って行った。

「旭も呼んであげたら。」
と、一華が言ったが
「あいつは、もう私の友達じゃないから。」
と、言い捨てるから
俺は、笑ってしまった。
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