諦めた心···(哲也中心)
二人は、菫さんに挨拶をして
飛鳥さんのご両親に
菫さんも一緒にご挨拶に向かう。
これは、菫さんが言い出した事。
飛鳥さんは、グローバルハウスの
日本に勤務しているが
結婚を期に
怜のいるアメリカに転勤をする。
ご両親にとって
大切なお嬢さんを
異国に連れて行くのだ
きちんとご挨拶をしておきたい
と、菫さんがお願いした。
そんな菫さんに
怜は、とても嬉しそうにしていた。
二人が日本に帰国した日は
日和と咲良子さん
一華と俺と楓も一緒に
食事をした。
ハキハキと話をする飛鳥さんに
好感をもったのは
言うまでもない。
日和は、飛鳥さんに何度も
「怜で良いのか?」
と、おちゃらけながら訊ねると······
飛鳥さんは、正座をして
「怜から全てを聞きました。」
と、一華に頭を下げ
「一華さんに取り返しの
つかない心と身体に傷を負わせてしまい。
そんな、
自分が幸せになれるはずはない
と、怜は言い続けていました。
私は、それでも良い····と
夫婦だけが、全てではないし
恋人だげが、愛情を語れるものじゃないと
だから、怜とはずっと友人としていようと
思っていました。
だけど、そんな私達の事を
千亜季さんが知って
哲也さんに相談してくれて
哲也さんが怜と
話してくれたのです。」
と、飛鳥さんの話しに一華は、
俺をみる。
「怜が、どうするかまでは
わからなかったから
一華には、話してなかったんだ。
すまん。」
と、言うと
一華は、俺に微笑んでくれてから
「大賀さんは、バカだよ。
私の為に、一人でいるなんて···
その方が、つらいじゃない。
まぁ、てっちゃんが
純粋に大賀さんに幸せになって
欲しかったのかは、わからないけど
飛鳥さんに幸せになって
もらいたいと言うのは事実だと
思うから、私の事は
何も、お気になさらずに
怜を幸せにしてあげて下さい。」
と、言うと
怜は、
「いちか······」
と、頭を下げ·····
飛鳥さんは、もう一度
頭を下げながら
「本当に、ありがとうございます。
私は、一華さんみたいに
綺麗でも、可愛くもありません。
そんな私ですが、
見た目も冷たくて、
素直じゃなくて、ひねくれているけど
本当は、寂しがりやで
依頼人の為に一生懸命な怜が
好きです。
ずっとそばにいて欲しいと
思っています。」
と、言うと
怜は、真っ赤になっていたが
「怜、良かったな。
お前の理解者ができて。
飛鳥さん、怜を宜しくお願いします。」
と、日和が言うと
怜は、涙をいっぱい瞳に貯めて
日和を、一華を見て
飛鳥さんをみた。
良い娘さんだと思いながら
「まぁ、いつまでも怜が
一人でいると、一華が気にするからな。
一華に気持ちがなくても
俺以外の男を心配するのは
嫌だからな。」
と、俺が言うと
みんなから
呆れたような顔をされる中
「てっちゃん、ありがとう。
いつも、私の廻りの人を
幸せにしてくれて。」
と、言ってくれた一華に
「俺は、一華が幸せなら
何にもいらないんだ。」
と、言うと
また、始まった···だの
溺愛····だの
みんなから笑われた。
その皆の顔が幸せそうで
俺としては嬉しかった。