諦めた心···(哲也中心)

大典も怜も
幸せになって欲しい。

そりゃ、俺の可愛い姪を
そして、愛する女に
酷い事をした。
一華には、大きな傷後を残した。

だが、充分に
大典も怜も夏海さんも梓さんも
贖罪の日々を送っていたし
大変な思いもしただろう。
だからこそ、
みんな幸せになって欲しい。

千亜季は、翼君と二人で
一華は、俺が力の限り幸せにする。

夏海さんは、陽介さんと
梓さんは、一也君と
幸せになって欲しい。

もちろん
怜も飛鳥ちゃんと
大典も嫁さんと
幸せになって欲しい。

そんな風に思いながら
怜と飛鳥ちゃんの
パーティーへと目を向けていると

千亜季が
「あっ、一華ちゃん。
優しくて腕のよい小児科の先生が
近くに来たの。
楓君に何かあったら
« 向日葵クリニック »に
行ったら良いよ。」
と、ママ友の用な発言をして
「そうなんですか?
ありがとうございます。
どこに行けば良いか千亜季さんに
訊いてみようと思っていたので。」
と、一華もホッとしたような顔をすると
「そうだったんだ。よかった。」
と、話す二人に
「向日葵クリニックって?」
と、俺が訊ねると
翼君が
「哲也さん、千亜季が梓と
連絡とってるんですよ。
陽介さんじゃないけど。」
「千亜季、お前、翼君を
困らせるなよ。」
「あっ、またまた、叔父さん
どんだけ、翼が好きなのよ。
私は、姪だよ。私の味方じゃないの?」
「ばかっ、俺が好きなのは
一華だけだ。」
と、慌てる俺に一華が笑いだすと

「母さんのとこに帰ったときに
結翔が熱をだして近くの
総合病院に行ったら
西先生がいたんだよ。
それで梓ちゃんとも
連絡取るようにしたの
梓ちゃんは、二人のお母さんで
先輩だし、看護師さんだから。」
と、言う千亜季に
「そんな事が····なんか世の中狭いな。」
と、言う俺に
「うん、だからさっきの陽介さんの
話でギクッとなったの。
翼が、少し嫌そうだったから。」
「いや、俺は別に
ただ、千亜季が一也君を褒めるから」
と、翼君がぶつぶつ言う
「あははっ」
と、俺が笑うと千亜季が
「もぅ、翼は。
私は、誰の嫁なの?」
「俺の。」
「そうだよね。
私が、翼以外に目がいくとでも?」
「思ってないよ。
ただの、俺の嫉妬なんだよ、
わかってる。」
と、告げる翼君。

俺は、一華に
「翼君は、表情が乏しく
感情を表に出さないと言われて
いたんだよ。嘘みたいだよな?」
と言うと
「その時の翼さんを知らないから
検討もつかないけど。
きっと、千亜季さんだからだね。
翼さんにとっても
千亜季さんにとっても
運命の相手だったんだね。

つらい経験もしたけど
先にそういう未来が待っていたと
言う事なんだね。
私も高校の時、大学の時
てっちゃんと出会っていたとしても
夫婦になれたかわからない。
でも、あの時だったから
てっちゃんの優しさや
包容力やイケメンの所に惹かれたんだと
思う。」
と、言うから
「そうだな、旭と過ごしていた
時の一華に告白しても
振られていただろうな。」
と、言うと
「旭との結婚を相談した時
てっちゃんがすごく辛そうな
顔をしたの。
心配してくれていたからと
思うけど
あの時、なぜか自分も凄く
胸が痛かったの。」
「お前、それを早く言えよ。
きっと一華は、その時から
俺を気に入っていたんだよ。」
と、言うと
「本当に、そうかもね」
と、一華は言いながら
俺の手を握った。
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