姫になった娘と一緒に守られているワケあり元妃は、女子高生

「神楽はね?家・家族・交友関係・学校に居場所がない
人間たちのたまり場として出来た族だったの。
そして、星哉たち幹部も同じだったの。だから
星哉は、あたしに声をかけたのかもしれない」

「は?」

どういうことだ。そうい痛げな顔をしている紅蓮の総長
由依ちゃんが話そうとしたのを止めてくれた愁君。

「あんた達も”雨宮”を聞いて何も思わないの?」

「特には」

なるほど。
そこそこでしか興味もないのか

「星哉は、ある企業の息子でね。それこそ、次男だからこそのプレッシャーもあったのかもしれない。
星哉はよく”出来損ないの俺が”って言う言葉を使っていたし
どこが出来損ないなのか、あたしにもわからなかったけど
お兄さんや妹さんは、トップクラスの秀才だったみたいで
星哉は、そこまでって感じで家からも見捨てられてるって言ってた」

「!?」

「あんた達が雨宮を聞いて何も思わないように
あたしも星哉のことを聞いても、神楽のことを聞いても、何も思わなかった。
そして、あたしの素性を調べても出てこないのが分かれば
何かある。そう思うはずなのに、何にも神楽のみんなは聞いても
聞こうともしてこなかった」

「!?」

「出てこない・・・?」

「そう。あたしの情報は、すべて酒井で管理してもらってる。
情報のエキスパートである麗君がいるから、すべて任せてあるの

そして、神楽に入ってから暫くたったころ、朔(サク)が連れてきたのが
あたしを追い出した張本人。佐々木樹梨を連れてきたの。
最初は、何も思わなかった。星哉が信じてくれれば、それでいいと
そう思っていたの。
でも、あの子は、違った。あたしたちが付き合っていたのは、ほんの1年。
でも、あっちは、段階的にあたしから味方を奪っていっていた。
下っ端も、幹部も、星哉もすべて、あの子が奪っていった。
そして、追い出された2年前。
向こうの自作自演なのに、それにも気づかないで、あたしを裏切り者のレッテルを張り付け
星哉までも奪って、神楽から追い出された。」
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