深紅と浅葱
昨日の雨が嘘のように良い天気


近藤を連れて店へ


「いらっしゃい」


出迎えたのは、老夫婦


「不躾にすみません
昨日の娘さんは?」

「葵はんのことか?」



名前は知らなかったが


「はい」


山南が頷いた


「葵はんやったら今日は、来まへん」

不思議に思いつつ

「どこに行けば会えますか?」

「…失礼ですけど、葵はんに何の用や?」

「え」


近藤に葵を紹介したかったような
葵の料理を食べたかったような


山南が返答に困っていると


「どんな知り合いか知らんが
葵はんは、ええ子や
泣かしたら承知しまへん」


「そんなつもりはありません!!!
料理をただで頂いたから
今日は、しっかりお代をしようと」


「あら!お客はんかいな!
何にします?」




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