深紅と浅葱
「着物を整えてください」

沖田が背を向けた

沖田の背中に葵の右手が触れ
浅葱色の羽織を掴んだ

「沖田さん」

震える声の主にピンときて振り返る

「葵? は? お前なんで?
わ/// 着物!着物整えろ!!」

葵が沖田の懐に入り、涙を必死に堪える
離れなければと思うが、体は自然に沖田にピタリとくっついていた

「怖かった…」

こんなにも飾らない自分がいることに驚く、弱音を吐き
沖田にすがっている
強ばっていた体の力が抜ける


「葵!」

沖田が葵を抱き支える

「とりあえず着物整えてくれ!
目のやり場に困る!」


沖田の腕の中でもぞもぞと整える
平隊士が部屋に戻ってきた


「沖田組長!支度が整いました!」


「わかりました 戻りましょう」






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