深紅と浅葱
「入るぞ」

土方の声

「どうぞ」

葵が返答


スーーッ

戸が開くと廊下には、御所警護の際にいた〝偉い人〟葵斗(アオト)であった
嫌味を言われる覚悟を決めた

「……?」


廊下で目を見開き、立ち尽くす
葵斗の視線の先

露子も葵斗と目を合わせていた

「顔見知りでしたか?」

「いやいや!このような美人を見るのは初めてだ!!!」

「あ…そう…」


露子を見れば赤くなり俯いていた


お互いに一目惚れをしたのかと
葵斗を見返すと
こちらも赤くなり俯いていた


規律に厳しい葵斗がこんなに心を乱している姿は、葵の心を揺らした


『実って欲しいな…』


「深紅!!じゃない!葵!!!
帰るぞ!!!」


< 106 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop