深紅と浅葱
宴の終盤

一足先に退席する家茂を見送る為
慶喜と葵が廊下へ

2人を見るとすぐに睨みつけ

「着飾っても人殺しは人殺し
慶喜殿、命を盗られぬよう」

「なっ…!」

慶喜が反論しようとしたが、葵が慶喜の背中に手を当て止めた

「慶喜殿に色目を使っているのか?
怖い女だ…騙されてはなりません
慶喜殿、そいつはただの人殺し
そばに置くのは危険だ」

「危険!?散々守って貰っていて…」

葵が慶喜の着物の背中をツンツンと引っ張る

慶喜が反論を止め黙る

「フンッ」


家茂が背を向け去っていく


「なんだよ…その顔」

「いつも通りでしょう」

悲しんでいると心配し覗きこみ
葵が無表情なことにムッとする


< 122 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop