深紅と浅葱
翌日



土方が会津公へ報告に行った帰り

葵と出会った寺の前を通る

『反省…か?』

そっと後ろに立ち驚かそうとする

「土方さん、こんにちは」

「!!!っおう」

「今日は、少し風がありますから
煙草の臭いがしました」

「そうか」

「昨夜は…
沖田さんがいてくれて良かったです
怒りに我を忘れそうでした」

「怒り…か
そうだな、個人的な感情での殺生は
局中法度で禁じているが
総司もお前と似たようなもんだろな」

小首を傾げる葵にクスッと笑い


「自分の事で怒ったりしない
大事な人の為に怒るとこ」

葵が無言で土方を見る


「クククッ 総司の大事な人は
近藤さんだ
近藤さんがいなけりゃ
生きていねぇかもな」

「近藤さんは、沖田さんの命の恩人なのですね」

「そうだ
心は、葵に救われたようだがな
総司が皆に心を開くきっかけを作ってくれてありがとうな」

「私は、何も…」

「文の返事 心が変わったら
何時でも大歓迎だからな
遠慮なんていらねぇぞ!」



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