深紅と浅葱


『温かい…』


真っ白な空間で葵が右手を見る
繋いでいるであろう沖田からの熱


『もうすぐ…お別れ…ですね』


沖田が目を覚まし
自分を拒絶する姿を思い浮かべる


『…やだな』


左手で唇を触る


『私は、沖田さんに何度も助けられたんだ…守って貰って…
心配してくれて…
もう… なくなるんだ…』


胸がきゅうっと熱くなる


目を開けると


「おっ?お目覚めか?」

山崎が覗き込む


「すみません…寝てしまって」

起き上がろうとして
右手が沖田と繋がったままであることに気がついた


『嬉しい』



「ちょっと外してええか?
水変えてくるさかい」


「はい 私、看てます」



山崎が桶を持って部屋を出た


落ち着いた呼吸の沖田に安堵する

『ごめんなさい
最後ですから、許して下さい』


そっと、沖田の唇に自分の唇を重ねた



「今まで、ありがとうございました」




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