深紅と浅葱
「土方さん 私、大丈夫ですから
沖田さんに我慢させないで下さい」

ペコリとお辞儀し、部屋を出て行く

土方がぼんやりと沖田のことを考える

土方にしてみれば、元々我慢して
良い子を演じていた沖田が
近藤に怒られるほど
自由に振る舞えている事が悪い状態に思えず

どちらかといえば

葵の方が心配になった

『ったく!2人とも!』

2人の笑顔を取り戻せるのは、自分だけのような気持ちになった

近藤に葵を送ると伝え

屯所を飛び出した



トボトボ歩く後ろ姿をとらえ

声を掛けようとしたが

早朝の路地に人が多い事に気がついた時には、あっという間に葵が連れ去られた


土方が冷静になる

『わざと、囮になったんだ…
葵のやつ…総司の仇を討つ気だ
それに新選組の情報が漏れている』

葵が沖田の傷を癒したことが伝わっていると察した

『そうか!!
葵の力が徳川以外にも使えることを証明したかったんだ
だとしたら… 葵が危ない…』




屯所に向け、全力で走る














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