深紅と浅葱
「今日限りで女中を辞めます」

表情も口調も、いつもと変わらなかったが、葵が怒っているように感じた


「葵、違うなら言ってくれ」

「………クセニ」

「ん?」


葵が立ち上がり、呼び止めにも応じず

屯所を出た



その後を山崎が追っていること
葵は気づいていた

『ほら…疑ってる…』


「あ!先ほどのお嬢さん!」


長州の男と再び出会した


「薬は飲みました?」

「いえ、帰ってから頂きます」

「家まで送りましょう」

「大丈夫です」

「遠慮せず!途中で倒れたらどうするんだい?」

「では…お言葉に甘えます」



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