深紅と浅葱
『なるほど…
反省してたのか…』


娘が立ち止まり、土方を見上げる

「いつも母が迎えにきてくれました
母が… 迎えに来てくれたのかと」


「母上じゃなくて悪かったな」

土方が笑う

娘の表情は、少しも変わらない


「葵さん?」


土方と娘が前方に視線を移す



「やっぱり!葵さん!そちらは?」



医者らしい男が娘に話し掛ける


そういえば、娘にも名乗ってなかったと気がついた


「壬生浪士組 土方歳三と申します」


「壬生浪士組の土方君だったか
僕は、会津藩医師 南部精一」


南部が土方と娘を交互に見る


そして、にこりと微笑む



「とてもお似合いだが、雨は上がったよ」



土方も葵も雨がやんだことに気付いていなかった

慌てて傘を畳み

少し照れる
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