深紅と浅葱
その夜、浪士組に出勤命令があり
御所へ向かう

しかし

門番に阻まれて中に入れない


「おのれ…」


芹沢が愛用している鉄製の扇を振り上げた


「なにしてるの?」

「「ひっ!」」


門番が真っ青になる


芹沢がニヤリ


「持ち場につけず困っていたところです」


男装した葵に浪士組の面々が目を見開く


「行き先は同じです
着いてきて下さい」


御所内に入ると葵が少し振り返り

「先ほどの行いは感心しませんね」

「申し訳ありません」


葵に敬語を使う芹沢
状況把握できない近藤が口を開く

「どういうことなんだ?」


「怖い人だ」

芹沢が葵を指さす

「怖い顔に言われたくありません」

「ほぉ 返してくるか」

「芹沢さん…」


立ち止まり、葵が振り返る


「公私の区別はつけなさい
それと、今夜は私の他に怖い人がいるから、無駄口はやめなさい」




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