深紅と浅葱
だだっ広い庭の真ん中に立つ男が腕組みをして葵と浪士組を睨む


「出迎えとは、随分と浪士組に甘いようだな」

「たまたま入り口で一緒になっただけです」

「では…お前が助けたこの男がいるのもたまたまか?」

「浪士組筆頭局長 芹沢鴨と申します」

「名を名乗れとは言ってない
答えろ…コイツがいることを知っていたか?」

「知らなかった」

「ふん 偶然で納得するとでも?」

「本当のことだから」

「この事は、報告するからな」

「どうぞ」


しばらく重い沈黙が続き





「深紅 俺は、お前を信頼している
がっかりさせないでくれ」






男が先に持ち場を離れた





「葵…俺のせいで…」






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