深紅と浅葱
幕府からの召し抱えを断り

京にきて、新選組として初めての冬




「山南さん~寒いですねぇ」

「総司、温かいもの食べて行こう」


暖簾が外に出ていることを確認し、店の扉を開けた

「山南君いらっしゃい」

老夫婦が出迎えてくれた

「常連なんですか?」


沖田が山南に問いかけていると
店の奥から

「お久しぶりです」

「葵!?」

「今日は、ここで仕事かい?」

「ええ 明日の仕込みをしてます」

「どうりで、良いにおいがする」

「味見します?」

「お!良いのかい」

「どういうことですか?」

「ここで初めて葵と出会ったんだよ
葵を女中にしたのは、僕なんだから
知っていても不思議はないだろう」

「確かに…」




口では納得しつつ

葵が屯所に来なくなってからも
ここで度々会っていたかと考えると
ヤキモチを妬いてしまう




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