深紅と浅葱
そして、もう一つの気持ちが沸く

『沖田さん…』


首をぶんぶんと横に振る

『新選組の為…関わっちゃダメだ』


トボトボと家に向かって歩く

途中、いつもの寺に寄った


『あの人の守った新選組を
私が壊すわけにはいかない…
あの人…芹沢さんが命をかけて…
大切な仲間を幕府に認めさせた
なのに… 私は…』



「泣いてんのか?」



声に反応しなかった
足音から、背後にいるのが土方だと気づいていたからだ


「泣いてませんよ」

答えると、土方が顔を覗き込んでくる


「違ったか…俺も葵の感情を読んでみようかと思ったんだがなぁ」


葵は土方をジッと見た

「ん?なんだ?」




< 98 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop