疑心暗鬼〜特殊捜査チーム「零」〜
「犯罪に手慣れている者は、自分が触れてしまったものを持ち去るケースもありますね。そこに自分の指紋などが付着してしまったら立派な証拠となりますから」

「なるほど……」

その後も悠真と範人は慎吾に質問をしたが、事件解決につながるような情報はあまり得られなかった。



「ただいま戻りました〜!」

話を聞き終わり、悠真と範人は警視庁の部署へも戻る。範人が明るく言いながら部屋の中へ入ると、広人はパソコンをいじり、華と美月は話している最中だった。

「被害者の息子である田村慎吾、と妻である由起子から話を聞いてきました」

悠真がそう言うと、美月が「あたしは解剖が終わって、華には聞き込みに行ってもらったよ。赤羽くんはずっと田村総合病院のことについて調べてもらっていた」と言う。範人が「ありがと〜!それじゃあ、集めた情報を言っていこうか」と椅子に座った。まずは遺体を解剖した美月が話す。

「死亡推定時刻は午前二時半から三時。死因は腹部を刺されたことによる失血死。おそらく刃渡り十五センチほどのナイフが凶器と思われます。ナイフで刺されたのは一箇所だけでしたが、その傷口は内臓にまで達し、動脈も傷つけていました。致命傷になったと思われます」
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