疑心暗鬼〜特殊捜査チーム「零」〜
その時、範人のスマホに電話がかかってくる。かけてきたのは広人だった。

「もしもし？」

「柏木さん！調べていたらとんでもないことがわかりましたよ！」

範人がスピーカーモードにしてくれたおかげで、悠真にも声がしっかりと聞こえる。広人の声は驚きで満ちていた。

「田村慎吾について調べていたんですけど、田中慎吾の周りで動物の変死事件が最近起こっているみたいなんです」

「動物の変死事件？」

範人ではなく悠真が訊ねる。広人が「野良猫の体がバラバラにされて見つかっているそうです！それが田中次郎が亡くなる前に十件も起きてるんですよ！」と言った。

動物殺害は日本では軽く見られがちだが、FBI捜査官だった悠真にはこれが何を意味するのかよくわかっている。連続した動物殺害は凶悪犯罪が起こる予兆なのだ。

「……よく連続殺人犯が幼少期に動物虐待をしていたという話はレアなケースではないですね」

動物殺害事件と次郎が殺害された事件は関係性がある。それを悠真と範人は瞬間でわかった。
< 19 / 28 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop