疑心暗鬼〜特殊捜査チーム「零」〜



それから数日後、悠真は範人と居酒屋にいた。二人で飲みに行くことになったのだ。

「乾杯!!」

ビールジョッキを合わせ、二人は同時に飲んでいく。ビールを飲み終えた後は、テーブルに並べられた刺身などのおつまみを食べ始めた。

「いや〜、事件が解決してよかったね。本当はみんなと来れたらよかったんだけどさ」

範人はねぎま串を食べた後、笑いながら言う。範人の言葉には悠真も苦笑した。飲みに行こうと範人が誘った時、広人は見逃したアニメ映画が放送されるからと言い断られ、華と美月はこれから二人で台湾に旅行に行くからと断られたのだ。

「まあ、こうして二人で飲むのもいいよね。睦月くんはよく頑張ってくれたし」

範人は「俺の奢りだから」と笑う。悠真は一番気になっていることを訊ねることにした。

「あの、どうして自殺しようとした慎吾を止めた時、あんな顔をしていたんですか?」

「ああ、表情に出ちゃってた?」

範人はそう言い笑う。しかし、その表情に悲しみが隠されていることなど悠真はすぐに見抜いてしまうのだ。
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