疑心暗鬼〜特殊捜査チーム「零」〜

さっきから驚くことしかできない悠真を見て、二人の女性が口を開く。一人は白衣を着たショートカットで口が悪く、もう一人はポニーテールの気弱そうな女性だ。

「あの人たちは？」

ショートカットの女性に言われた言葉にショックを受けながら、男性に悠真は訊ねる。男性はすぐに答えてくれた。

「ショートカットの女性は末良美月（すえよしみつき）先生。この部署の専属監察医なんだ。そして隣にいるのが糸尾華（いとおはな）くん。男性が苦手なんだ」

「どうも〜」

「よ、よろしくお願いします！」

美月は面倒くさそうに、華は緊張しながら言う。悠真は「よろしくお願いします」と言ったものの、なぜこの部署に監察医がいるのか疑問を感じざるを得なかった。

「何故監察医の方が……？」

すると、美月はすぐに「あたし、働いてた法医学室で暴力振るっちゃったんだよね〜。亡くなった方を侮辱されて我慢できなくって」と答える。

「美月ちゃんは空手、剣道、合気道、柔道、とにかく武術に優れてるんだ」