AIが決めた恋
「懸くんっ、テストはどうだったのかな?」
「え?テスト?何それ美味しいの?」

本田くんがテスト用紙を後ろに隠し、とぼける。

「その後ろにある物は何かな?見せてくれる?」
「こ、これはお陽芽には関係の無い物だから!」
「ふーん。…あ!あんな所に水着姿の可愛い女の子がいる!」

陽芽さんが窓の外を指さした。

「え!?何処!?」

本田くんくんが窓の方向を見て、気を取られている隙に、陽芽さんは本田くんが持っていたテスト用紙を奪い取った。

「あっ…!!」

本田くんもテスト用紙が自分の手の中から無くなっていることに気がついたようだが、時既に遅しだ。

「28点、19点、8点、6点、23点、29点、12点、20点…!?」

その瞬間、陽芽さんが満面の笑みを浮かべた。

「懸く〜ん?何なのかな〜?これは。」

陽芽さんと何度か会話をしていて分かったことだが、彼女は怒っている時に笑顔だ。

「え、えーっと、何と言うか…、あの、その、夏休みにもお陽芽と一緒にいられるなんて最高!!みたいな…?」

駄目だ。完全に開き直っている。

「一緒に居られて最高!…じゃないわよ!!」
「わ〜!お陽芽、怖っ!!」

本田くんが一目散に逃げ出した。

「あ!待ちなさい!」

慌てて陽芽さんもそれを追いかける。まるで日曜日の夕方に放送されている国民的アニメのようだ…。
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