AIが決めた恋
「ひ、陽芽ちゃんも大変だね…。私が本田くんのパートナーだったら、手に負えないよ。」

隣で桃野さんが呟いた。

「佐倉くんは本田くんの友達なんだよね?」
「うん。」
「なんか意外。佐倉くんと本田くんって、タイプが全然違いそうなのに。」
「生まれた時から家が隣だったんだ。ご近所付き合いの延長のようなものだよ。」
「そうなんだ。」

実際、僕と本田くんの仲が良いことを意外だと思う人は沢山いる。中には、それを良く思わない人もいるらしく、何度か教師に、
『朱に交われば赤くなる。君はもっと相応しい人と仲良くしなさい。』
と注意されたこともある。
確かに本田くんには少し劣等生のような面がある。でも、悪意のある人ではない。それに僕も本田くんに影響されて人柄が変わるようなことは一度も無かった。

「あの…、お話を遮ってしまうようで悪いのですが…。」

湖川さんが、申し訳なさそうに言った。

「大丈夫だよ、藍ちゃん!何??」
「実は、お兄ちゃんが、福引で遊園地の団体無料チケットを当てたらしいのです。」
「そうなの!?裕さんって、昔から強運の持ち主って感じだよね!」
「そうかな?不運なところもあるよ。例えば、この前、ショートケーキを食べてたら、歯が欠けたらしい。」

どのような食べ方をしたら、ショートケーキで歯が欠けるのだろう。とても不思議だ。

「それで話を戻しますと、お兄ちゃんが、もうすぐ夏休みなので、皆で一緒にこの遊園地へ行こうと言っているのですが、どうですか?」

湖川さんが、遊園地のパンフレットを開いた。
高校の最寄り駅から電車で1時間ほどの遊園地だ。
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