AIが決めた恋
「行く行く!絶対行く!」

桃野さんが右手を挙げながら飛び跳ねた。

「ありがとう。…佐倉くんはどうですか?」
「迷惑じゃなければ、僕も行っていいかな?」
「勿論です。」

湖川さんのその言葉にホッとした。
裕さんは湖川さんの従兄で、桃野さんは湖川さんの親友。そして真島くんは湖川さんのパートナーなわけだけれど、僕だけはただのクラスメイトだ。それに僕は他の人とも特別仲が良いというわけでもない。だから、そんな中、誘ってもらえて、とても嬉しい。

「真島くんは、行きま…せんよね…。」

湖川さんが、申し訳なさそうに言う。

「いや、俺も行く。」
「えっ…?」
「何だ?行ったら悪いか?」
「いえ、そういうことではないです。人は多い方が楽しいと思います。」

湖川さんは、真島くんに嫌われているのではないかなんて言っていたけれど、やはりそんなことはないじゃないか。
2人はとても仲が良さそうで、本当にこのまま卒業をしたら、正式に婚約をするのかもしれない。
そう考えたら、何故か2人を見ていられなくなった。

「そうだ、僕、今日は用事があるんだった。帰るね。」

気づいたらそんなことを口走っていた。

「そうなのですね。引き止めてしまってごめんなさい。」
「気にしないで。」

それだけ言うと、僕は教室を後にした。
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