AIが決めた恋

僕は前を歩きながら、気になって内容に耳を傾けた。

「真島広大くんね。」
「そうそう。彼ね、今回のテスト、学年1位だったんだってー！」
「マジ！？凄〜い！！」

疑っていたわけではないが、勉強会を行う前、中学の時にずっと学年1位だったというのは、本当だったんだ。

「それから、真島くんは剣道5段なんだって！」
「え〜！そうなの！？でも、確かに高身長だし、筋肉質だよね。きゃっ！格好良い！」
「格好良いよね！」
「クールでイケメンだし、私、惚れちゃうかも〜！」
「私も〜。真島くんのパートナーが良かったなぁ。」
「真島くんのパートナーって誰なの？」
「同じクラスの湖川藍さんだよ。」
「あー、あの、ちょっと何考えてるか分かんない子ね。」

湖川さんのことを好き勝手言われ、少し頭にきた。
女子高生が普段、こんな風に誰かの噂話をしているのかと考えると、恐ろしい。

「でもね！私、この前、凄い所見ちゃった！！」
「え？何何？」
「散歩してたら、たまたま湖川さんと真島くんが一緒に歩いてる所を見かけて、何と！2人が親密そうに手を繋いでたの〜！！」

何か固いもので頭を殴られたかのような感覚がした。
湖川さんと真島くんが…、手を繋いでいた…？2人はそんなに仲が良かったのか…。知らなかった。

「きゃ〜〜〜！！2人って、そんな関係だったの！？！？」

聞いていられなくなって、僕は歩くスピードを上げ、女子2人と距離を取った。
湖川さんと初めてきちんと会話をした日、初めて無表情以外の表情を見せてくれた日、初めて僕の前で笑ってくれた日…。彼女のことを知る度に、僕はとても嬉しかった。
でも、そんなことで喜んでいた自分が馬鹿みたいだ。湖川さんとは、ただのクラスメイトなのに…。
彼女は、真島くんの前でも照れたり笑ったりする。それ以上に特別な表情を見せるのかもしれない。
2人が本当に両想いだったら…だなんて、どうして僕がこんな嫉妬のような感情を抱かなければならないのだ。
必要無いはずなのに…、どうして…。
やはり、最近の僕はどこかおかしい。