AIが決めた恋

この高校に来た理由。一言で言えば、恋愛などという不確かなものすっとばして、相性の良い相手と結婚する為だ。でも、それはあまりにも簡単に説明し過ぎている。実際はもっと複雑だ。

「そういう真島くんは、どうして来たの？」
「俺の話はどうでもいいだろ。」
「それなら、僕の話もどうでもいいことだ。」
「なるほど。確かにその通りだ。」

体育館倉庫に再びしんとした空気感が流れる。
元々会話が得意な方ではないけれど、それにしても全然会話が弾まない。お互いに、何かを遠慮している。そんな気がする。

「佐倉、君はよく分からないな。」
「よく言われる。」

実際に、この前、湖川さんからも同じことを言われた。

「まあ、君がどんな理由でこの学校へ来ていて、俺のパートナーに恋をしているのかしていないのかそれは知らないが…、彼女は、少なくとも君のことをことを特別視しているようだな。」
「こ、湖川さんが、僕を…？」
「ああ。」

そんなはずはない。特別視しているとしたら、真島くんの方だ。この前だって、真島くんのオーラは特別だと、そう言っていた。

「そ、そんなわけないよ。」

でも…、そんなはずはないと思っていても、何処かで期待している自分がいる。それを認めたくない。
先程から動揺しっぱなしだ。
それを気づかれないよう、僕は真島くんと少しだけ距離を取る為に、後ろへ下がった。
完全に後ろを確認していなかった。背中に何かが当たり、不安定に置かれていた跳び箱が上から降ってきた。

「危ない！！」

真島くんの声が聞こえ、僕は目を瞑(つぶ)った。