AIが決めた恋

ミステリアスな人

「父さん、行かないで…はっ！！」

自分の寝言で目が覚めた。目頭が熱い。指先で頬を触ると、水分に触れた。
どうやら僕は泣いていたみたいだ。
とても現実的な夢…いや、現実“的”ではない。これは実際に僕が経験したことのある出来事だ。
高校に入学してから、父にも母にも1度も会っていない。でも、特別寂しいわけでもない。毎日一人でも、僕はこの平和的な生活が割と気に入っている。

「はぁ。泣いてる場合じゃない。」

スマートフォンを開き、現在の時刻を確認する。
午前6時30分。
今日は、皆と遊園地へ遊びに行く日だ。9時に高校の最寄り駅に集合だから、まだ時間はかなりあるが、あまりゆっくりもしていられない。僕は服を選ぶのが苦手だからだ。苦手というか、実家で生活していた頃は、母が着ろと言った服をそのまま着ていた。だから、自分で服を選んだ経験が他の人と比べて圧倒的に少ない。
出かける時は、どんな服を着れば良いのだろうかと、いつも迷ってしまう。
取り敢えず、クローゼットの中から、地味だけど一番無難そうな服を取り出した。
服のセンスもお洒落も全く分からない。だから、もしかしたら、とんでもないくらいダサい服を選んでいる可能性もある。
しかし、それならそれでもいい。いつも一緒にいる皆は、僕がダサい服を着たからといって、軽蔑するような人達ではない。それに、恥ずかしい思いをしても、その失敗は次に活かせば良いだけだ。