AIが決めた恋
「そんなことより皆！あと1分で電車来るよ！ホームまで、GO！」

裕さんがそう言い、今にも走り出しそうな勢いで早歩きをした。

「裕くん、走んないの？」
「駅は走って良い所じゃないから！」

想像を斜め上にいく行動と発言に、笑ってしまいそうになる。
彼は普段おちゃらけているけれど、根はかなり真面目なタイプなのかもしれない。
何はともあれ、少しのことで笑ってしまいそうになるこの状況に、僕は生まれて初めて“青春”を感じている。

「ギリギリセーフ！早歩きでも間に合っただろー！」

裕さんが得意気にしている。
電車の中は、夏休みだというのに、それほど人が多くなかった。
桃野さんの左隣に陽芽さんが座り、その左隣に湖川さんが座った。
あと、空いている席は、湖川さんの隣か、又は彼女達の真正面の席が2つ空いている。
僕は何処に座ったら良いだろう。きっと裕さんは湖川さんの隣に座りたいはずだから、真正面のどちらかの席を選ぶのが無難かもしれない。こんな経験は初めてで、それさえも自然にできず、いかに自分が異様な環境で育っていたのか痛感する。
迷った挙句(あげく)、僕は彼女達の真正面の席に座った。
すると、少し間を開けてから、僕の隣に裕さんが座った。
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