AIが決めた恋
「あ〜、ジェットコースター楽しかった〜!裕くん、めっちゃ叫んでたよね。すごく聞こえて笑いそうになった!」
「陽芽!余計なこと言わないで!」
「あはははは!必死〜、可愛い!」
「あの、それより、次に行きたい場所があるんだけど。」

桃野さんがジェットコースターの左隣にある建物を指差しながら言った。

「行きたい場所?」
「うん、私、お化け屋敷に行きたい!!」
「賛成!お化け屋敷なら得意だから。陽芽に『可愛い』とは言わせない!」
「はいはい。裕くんは、昔からお化け屋敷だけは得意だよね〜。」

先程裕さんは、ジェットコースターが苦手なことを湖川さんには言わないで欲しいと言っていたが、陽芽さんにここまでバレているということは、湖川さんも彼がジェットコースターが苦手なことを知っているのではないかと思う。

「因みに、あのお化け屋敷は、確かに2人ペアでしか入ると割引になった気がするよ!ペア、どうする?」

陽芽さんが言った。

「はい!私、陽芽ちゃんの可愛さにお化け役の人がデレデレしてるところが見たいので、陽芽ちゃんがいいです!」

桃野さんが勢いよく手を挙げた。

「私はいいけど、何その理由〜。」
「昔、ここのお化け屋敷に、一緒に入った時に、そんなことがあったでしょ?あれ、凄く面白かったんだから!私はそれでお化け屋敷が好きになったの。」
「そんなことあった??記憶に無いや。」

お化け役がお客さんにデレデレするなどということがあることに驚きだ。ここのお化け屋敷で働いている人に、あまりプロ意識やプライドが無いのか、それともそれほど陽芽さんが魅力的だということなのか、気になる。
< 152 / 508 >

この作品をシェア

pagetop